アプリ開発体験会へのバス旅行
2013年12月。
わたしは、関西から東京まで、夜行バスにゆられて旅をしていた。
なぜ、わざわざ東京まで行くのか?
その問いにこたえるためには、少し時間をさかのぼらなくてはならない。
アプリ開発への道はいかに開けたか
会社を退職したわたしは、自分のやりたいことを探すため、ハローライフに通って就職支援面談をうけていた。
どんな仕事をしたいのか?
自分にできることはなにか?
就職で優先することはなにか?
面談では、そういったことを話し合って、今後の進路を決めようとしていたのだ。
そんなある日のこと、就職支援面談で『アプリ開発をやりたい』という言葉がポロリと出てきた。それまでの何回かの面談では、小説家になりたい、育児に関する仕事をやりたい、とくりかえしてきて、アプリ開発なんてひとことも言ったことがなかったにもかかわらず、だ。
その言葉を発したときの気持ちを表現するなら、『ひょうたんから駒』という言葉がふさわしい。そのくらい『アプリ開発をやりたい』という言葉は、突拍子もないように感じられた。
子どものころからパソコンが好きで、MacやiPhoneが大好きで、アプリも大好きなのだから、『アプリ開発をする』という選択肢は、ごく当たり前のように思える。しかし、面談のときまで、自分でアプリをつくるという選択肢は、まったく考えたこともなかった。
いや、それはやや誇張が過ぎる。あまりにもドラマティックな記憶の改変だ。
じつは、アプリ開発をしたいと思ったことは、あった。といっても、テレビの画面に映るヒーローを見て、自分もああなりたい、と思うくらいの気持ちだ。どこか本気ではないような。そのときが来ないことはわかっていながら、いつかそうなれたらいいなと願うような。そんな、気持ちだ。
しかし、面談のときは、違った。
『おまえはアプリ開発をすべきだ』、とお告げを聞いたかのように、アプリ開発をしてみようと思ったのだ。
本気で。
なぜだろうか? いまだに、その理由はわからない。
もしかしたら──これは、ほんの思いつき程度という気持ちで聞いてほしい──じつは、ずっと前からアプリ開発をしたかったのかもしれない。それなのに、『自分にはできない』と、勝手にその気持ちにフタをして、気がつかないフリをしていただけなのかもしれない。
ハローライフでの面談で、そのフタをそっと開けてもらったのではないだろうか。そして、いままで、ためにためて熟成された気持ちが、いっきにあふれでたのではないだろうか。
理由はともあれ、わたしはアプリ開発に挑戦することを、固く心に誓った。
どのくらい固く誓ったかというと、その翌日に、東京で開催されるアプリ開発体験会に申し込みをして、さらにはMacを購入したくらいだ。
ふたたび東京行きのバスのなか
いよいよ、アプリ開発への第一歩を踏みだした。そのことに興奮して眠れないわたしは、ある夢想をしていた。
『もし自分が、アプリ開発をできるようになったら、どんなアプリをつくっているのだろうか?』
小説を書きたいから、物語のあるアプリがいいかな。育児に係わる仕事もしたいので、子ども向けのアプリもいいかな。子ども向けのアプリをつくるとしたら、育児で困っていることを解決できるアプリがいいかな。自分が育児で困っていることはなんだろう? あんなことやこんなことがあるけど……。
そうだ! これだ!
かすかな寝息とバスの振動のなか、わたしはひとり興奮していた。すでに電気が消えて暗くなったバスのなかで、アプリのアイデアがひときわ輝いている。そうか、わたしはそういうアプリをつくりたいんだ、と。
東京にて
東京に着いたわたしは、家族に関するグループブログ『fmj(ファミリーマネジメントジャーナル)』を通じて知り合った仲間たちに会いにいった(みな、わたしが東京へ行くことを知って、集まってくれたのだ。さらに、のりさん@norixnoriがクリスマスプレゼントにと、写真の花束とモバイルバッテリーを用意してくれた。このモバイルバッテリーは、いまでもお気に入りで愛用している)。そして、バスのなかで考えたアプリのアイデアについて、熱く語った。
みな真剣な面持ちで話を聞いてくれた。さらに、それならこういうアイデアもいいかもしれないね、とアドバイスまでしてくれた。
わたしは、アドバイスを忘れないようにメモに書きとめると、素敵な仲間たちに別れを告げ、アプリ開発体験会へとむかった。これから出会えるであろう、素晴らしい人生に思いをはせながら。
バスのなかで考えたこのアプリが、二年以上の時を経て完成することになるとは、このときのわたしは予想だにしていなかった。
To be continued.
晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。
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