――前説という名のあらすじ――
「こんにちは、辰子だよー。『創作の本棚』へようこそ。えーと、前回のあらすじからだね。おっと、早く本編を読みたいあなたは、ここから本編に飛んでおくれ」
「さて、『僕タス』こと『僕らのタスク管理ストーリー ~あの季節を忘れない~』もついに第六話だ。前回のお話はここから読めるよ」
「この辰子さんのわかりやすいタスク管理講座のおかげで、あのぼんやりした六郎もタスク管理についてほんの少しだけ理解できたんだ。リマインダーの設定はバッチリだよな、六郎?」
「だれがぼんやりだって?」
「そりゃあ、六郎。あんただよ」
「そんなストレートな返しはいらないんだよ!」
「まあまあ、六郎くん。今回は夏編の最終回なのよ」
「おっと、そうだった。ほらほら辰子。最後なんだから、ビシッと決めてくれよ」
「さあ、準備はいいかい! 楽しいお話の開幕だよ」
本編1――黄金色――
「さあさあ、これにて辰子さんのタスク管理講座はおしまいさね。今回紹介したのは、ほんのさわりの部分だ。タスク管理には、他にもいろんな考え方や技がある。それらは、二人が実際にタスク管理を活用しながら身につけておくれ。理論ばかり学んでも、活用できなかったらいけないからね。3聞いて1実践くらいがちょうどいいんじゃないかな」
律子ちゃんは、ふんふんと頷いている。僕は納得するところはあるけど、少し疑問に思うところもあったので、辰子に尋ねる。
「でも、電動カミソリを充電するだけでもこれだけ大変なんだから、タスク管理って難しいんだな」
それを聞いて辰子がこちらを向いた。切れ長の目でじっと僕を見つめている。その薄茶色の瞳から光が漏れ出しているように感じて、僕は思わず目を細めた。辰子の整った顔がかすかにぼやける。
「いいかい、六郎。そう感じるのはもっともだ。でもね、だからと言って、すぐに諦めちまうのはもったいないよ。『タスク管理』なんて言うから堅苦しく感じるけど、そんな難しいことじゃないのさ。大事なのはタスクを管理することじゃないんだ。今日、そして明日、さらにはそれに続く一日を自分でデザインして、自分の意のままにすることが重要なのさ。その積み重ねが自分の人生を作り上げるんだ。どうだい? そう考えると楽しそうだろ?」
僕は辰子の真摯な様子に驚いた。電動カミソリのことはきっかけにすぎないんだ。辰子はきっとこのことを僕に教えようとしてくれたんだ。僕の頭に律子ちゃんの言葉が蘇る。『辰子さんってホントに弟思いのお姉さんですよね』全くその通りだ。僕はあらためて辰子の優しさで胸がいっぱいになった。
「まあ、素敵! 辰子さんはそうやって日々を過ごしているから、そんなに輝いているんですね」
律子ちゃんは、辰子の言葉に感銘を受けた様子だ。まるで宝塚歌劇団のスターに対するような目で辰子に見入っている。
当の辰子はそんな律子ちゃんを静かに眺めていたかと思うと、突然スクっと立ちあがり律子ちゃんに近づいた。そして、ガバと律子ちゃんを抱きしめる。
「律子ちゃーん、あなた本当にいい子ね。おまけに飲み込みも早いし。素敵よ!」
律子ちゃんは、突然のことに目を白黒させている。
「あ、ありがとうございます。辰子さん」
抱擁を終え、辰子は再び床にドッカリと座り込んだ。そして、紅茶を一口すすると、下を向いておいしそうに首を振る。黄金色の紅茶の波に、かすかに辰子の顔が反射する。その顔には、ほんの少しのさみしさと優しい微笑みが浮かんでいた。
「おい、六郎! 律子ちゃんを大切にするんだぞ! 不義理でもしようもんなら、この辰子さんが許さないからな」
「は、はい!」
辰子の迫力に負けた僕は、ソファーから立ちあがって気をつけをした。その様子を見て、律子ちゃんがくすりと笑う。つられて僕も笑い、そして辰子も笑った。
リビングは笑い声と紅茶の香りで満たされた。
それは夏の思い出。ゆらゆらとたゆたう紅茶のような黄金色の時間。素晴らしい季節の一ページだった。
【やがて夏は終わり、季節は移り変わる。暮れゆく秋がはじまる】
――CM――
「やあやあ、辰子だよ。今回も僕タスを読んでくれてありがとう。それじゃあ、恒例の宣伝はじめるよ。このCMコーナーは、タスク管理に役立つ情報や、本編に出てきた物を紹介する場なんだ。本編とは無関係だから、読み飛ばしても大丈夫。気軽に読んでおくれ」
「辰子さん、ついに夏編終わっちゃいましたね」
「そうだねー。なんだかしんみりしちゃうね。それに、律子ちゃんがうちに来たのが遠い昔のようだよ」
「まあ、実際かなり前ですよね。だって、この第三話でお邪魔したときは九月でしたから。もうかれこれ二ヶ月も辰子さんのお家でお話ししてたんですよね(しみじみ)」
「り、律子ちゃん! そういうこと言っちゃダメでしょ! こことあっちは時間の流れが違うんだから」
「あら、六郎くん、ごめんなさい♡」
「そんな、いいんだよ。律子ちゃん♡」
「はいはい! アタシをほっといて二人の世界に入り込まないように! さあさあ、次回からは僕タス秋編がはじまるよ。秋編の主役は、なんとこの辰子さんだ! しかも、高校生の辰子さんだよ。楽しみに待っててくれよな」
「それではまた次回、僕とお会いしましょう」
「六郎、あんたの出番はないよ!」
「えっ!? そうなの? (がーん)」
「いや、知らないけどね」
「辰子さん、適当なこと言っちゃダメですよ。それでは、また次回お会いできるのを楽しみにしています」
「またねー」
晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。
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