律子(冬の恋は静かに燃える――弓道場――)『僕らのタスク管理ストーリー ~あの季節を忘れない~』【創作の本棚】


――前説という名のあらすじ?――

律子「こんにちは、律子です。『創作の本棚』へようこそおいでくださいました」

智恵子「こんにちは、ちえだよー。な、な、な、なんとっ! 僕タス冬編は今回でおしまい! 最後の余韻をしっかり楽しむためにも、ちゃんとここから前のお話を読んで復習してね」

律子「早くつづきを読みたいあなたはここから本編に飛んでくださいね

智恵子「あーあ、冬編もついに終わっちゃうのかー」

律子「さみしいね、ちえちゃん」

智恵子「うん、それもあるんだけど……」

律子「だけど?」

智恵子「ちえも……」

律子「ちえちゃんも?」

智恵子「ちえもカレシがほしかったー」

律子「(がくっ)だ、だいじょうぶよ。ちえちゃんなら、きっと素敵な彼氏が現れるわ」

智恵子「そっかなー」

律子「そうよー」

智恵子「じゃあ、ちえにカレシができたら、りっちゃんみたいにラブラブするんだ。自分からチューってしたりしてね♡」

律子「ち、ちえちゃん! そういうことはあまり大きな声では言わないでっ(赤)。こほん。さ、さあ、それでは最後の楽しい稽古をはじめましょう」

 

本編――弓道場――

 

──弓道場──

 よし、準備はバッチリ。

 わたしは空が白くなる前に家を出た。すべり止めのついた手袋でしっかりと弓を握り、矢筒とカバンを肩にかけなおす。白い息を吐きながら、地面の感触を確かめるように一歩ずつ静かに歩いた。

 学校が近づくと、道場に灯りがついているのが見えた。あれ? こんな早くに誰だろう? 不思議に思いながら道場の扉を開けると、一礼して中にはいった。

「りっちゃん、おはよう!」

 射を終えて揖(ゆう)をすると、ちえちゃんが元気な声であいさつした。

「あら、ちえちゃんおはよう。ずいぶん早いのね」

「まーねー。試合に向けて気合じゅーぶんなの」

 ちえちゃんはホラ見て見てと言いながら袴をめくりあげる。わたしは前のことがあるのでまたスパッツかとちえちゃんが袴をめくる様子を見ていた。しかし、緞帳のようにスルスルとのぼる袴の下からは、透きとおるような白い脚しか見えない。チラリと白いモノが見えたとき、わたしは急いでちえちゃんの手を止めた。

「ちょっとちえちゃん! 今日はスパッツ履いてないの!?」

「そうなのよー。ちえったら気合が毛穴からにじみ出てるのか、ちっとも寒くないのよ」

 そういうちえちゃんの脚は鳥肌だらけだし武者震いしてるけど、わたしはあえて軽口で返す。

「やだー、ちえちゃんたら。毛穴からにじみ出てるだなんて、乙女にあるまじきお言葉ですわよ」

「そうですわね、律子さん。おほほほほ」

 ちえちゃんは、乙女というよりはマダムのようなしぐさで笑っている。ちえちゃんったら、無理しちゃって。でも、仲間って頼もしいな。

 わたしは気合をいれなおすと、道場の壁にかかった名札を手に取った。そして、自分の名札を『出席者』と書かれた場所にかける。

「あっ! ちえ、すごいこと発見したよ!」

 とつぜんちえちゃんが後ろから大きな声で言う。

「なになに? すごいことって?」

「うふふー、りっちゃん、わかるかな?」

 そう言いながらちえちゃんは壁にかかった名札を指差す。

『智恵子』
『律子』

 そこには、ちえちゃんとわたしの名札が並んでいる。なんだろう? と眺めているうちに、辰子さんの顔が浮かんでピンときた。

「あ、わかった!」

「りっちゃん。じゃあ、せーので言うんだよ。いい? せーの──」

「「『ちえこりつこ』で『チェックリスト』!!」」

 ふたりの声は綺麗に同じ音程を奏でた。その見事な調和に、わたしたちは顔を見合わせてふきだした。

「あははは、さすがちえちゃん。すごくいいよ。そうだよね、わたしたち二人で『チェックリスト』だね」

 わたしはお腹を押さえながら大きな声で笑った。

 ふたりが同じことを考え、同じように声に出す。それは単なる偶然なのかもしれない。でも、わたしは──いえ、きっとちえちゃんも──確信した。『その瞬間だけは自分の宇宙を抜け出して同じことを感じている』と。

【冬は終わり、季節は移り変わる。恋が萌え出ずる春がくる】

 

――CM――

 

律子「今回も僕タスを読んでくださってありがとうございます。それでは、恒例の宣伝をはじめますね。このCMコーナーは、タスク管理に役立つ情報や、本編に出てきた物を紹介する場です。本編とは無関係なので、読み飛ばしてくださっても大丈夫です。お気軽にご覧ください」

智恵子「りっちゃん、今回で冬編はおしまいだけど、なにを紹介するの?」

律子「そうねー。『僕らのタスク管理ストーリー ~あの季節を忘れない~』だから、タスク管理に関係あるものにしようかしら。うーん、なにがいいかなあ」

作者『(ひそひそ)ほら、これなんかどうかな』

律子「あら、これは『知的生産の技術とセンス ~知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術~』ね」

智恵子「なーに、それ?」

律子「えっと。『知的生産』つまり、情報を記録して活用することについてまとめた梅棹忠夫さんというすごい人がいるらしいのね」

智恵子「らしい?」

律子「で、梅棹忠夫さんの考える『知的生産』を現代の技術で再構築したらどうなるだろう、という本なの……たぶん」

智恵子「たぶん? りっちゃんにしてはめずらしくあいまいね」

律子「じつは作者の人もよくわかってないの。先日、この本のセミナーに参加して、えらく感銘を受けたから、どうしても紹介したいんじゃないかな」

智恵子「なーんだ。そういうことか。しっかりしなよ、作者の人!」

律子「次の僕タス春編のころにはちゃんと紹介できるようになってるといいね、作者の人。というわけで、梅棹忠夫さんと知的生産に興味があるあなたは、知的生産の鉄人『倉下忠憲』さん(@rashita2)のブログ『R-Style』をご覧ください」

智恵子「作者の人もR-Styleを読んで脳にビシバシ刺激をうけて、創作の糧にしてるんだって。ねー、りっちゃん」

律子「そうね、ちえちゃん。さて、それでは宣伝を終わります」

智恵子「りっちゃん、ついにおしまいだね」

律子「そうね。しんみりしちゃうね」

智恵子「でも、わたしたちの青春は終わらないわよ!」

律子「なんだか、ジャンプの打ちきり漫画みたい」

作者『ドキッ』

智恵子「打ちきられないようにがんばるのよ、作者の人!」

作者『こくこくこく(高速うなずき)』

律子「じゃあ、そろそろ締めましょうか。はい、ちえちゃん。ひとことどうぞ」

智恵子「これまで読んでくれてありがとー! ちえに素敵なカレシができるように祈っててね」

律子「冬編におつきあいくださいましてありがとうございます。わたしたちの青春が、あなたにとっての『なにか』になってくれたら、それに勝る幸せはありません。それではまた、次回の春編でお会いしましょう」

 

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

 

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とし
主夫で育児メンで小説家でアプリ開発者でアプリ開発講師でアプリ開発本執筆中でLINEスタンプ作者でブロガーのとしです。 このブログは、タイトル通り晴れた日も曇った日も人生を充実させるちょっとした楽しさを取り上げます。それが少しでも誰かのお役に立つ日がくれば幸いです。

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