仲谷鳰(なかたににお)さんの『やがて君になる』がとにかく最高なので、ぜひ読んで(見て)ほしくて、この記事を書いています。
ぜひネタバレなしで読んで(見て)いただきたいので、詳しい内容についての言及は避けますが、『やがて君になる』の素晴らしさが伝わればすごく嬉しいです。
やがて君になるとの出会い
忘れもしない2020年8月某日。
たまたま電子書籍ストアのhontoで見かけた『やがて君になる』がなんとなくおもしろそうだったので、全8巻をまとめ買いしました。
1巻を読みはじめたら、1話目の出だしにして「えっ!? なにこれすごそう」、1話目の終わりで「なにこれすごい」、2話目を読んだら「なにこれおもしろい!」、1巻を読み終わるときには「はわわわ〜(最高すぎて思わず漏れるため息)」となっていました。
その勢いは2巻・3巻と読むごとに右肩上がりで、最終巻を読み終わったときには、あまりの素晴らしさに魂が完全に抜けだしてしまいました。
抜けだした魂はどこへ行ったのかというと、『やがて君になる』界に引き寄せられました。そして、それからというもの、わたしの魂は『やがて君になる』界から抜け出せなくなってしまったのです。
その証拠に、最終巻を読み終えたあと『やがて君になる』のアニメを全話見て「アニメ最高!」となり、舞台を見て「『やが君』が人間界に降臨した!」と興奮し、公式コミックアンソロジーを2冊購入して読んで「本編では見られない『やが君』の世界最高!」と盛り上がり、スピンオフ小説『やがて君になる 佐伯沙弥香について』3冊を購入して一気読みして「沙弥香最高!」と胸がいっぱいになり、『やがて君になる画集 アストロラーベ』を購入して「イラスト素晴らしすぎてちょーいやされる!」となっているくらいです。
さらに、紙版単行本の帯が素晴らしいとの噂を聞きつけて、電子版を持っているのに紙版の全巻をまとめ買いしました。
ネタバレ防止のため一部を除いて隠していますが、どの帯にもそれぞれの巻にぴったりの言葉が書かれています。ぜひご自分の目で確かめてください。
電子版の漫画も、紙版の漫画も、アニメも、舞台も、公式コミックアンソロジーも、スピンオフ小説も、画集も、どれも最高で、すでに何周したかわからないほどです。
『やがて君になる』のなにがこんなにわたしを惹きつけてやまないのか、自分でも不思議なほどです。
まだうまく言語化できませんが、幾重にも積み重ねられた見事な構成、ときに胸を抉り・ときに胸に染み込む言葉と絵の表現、作品内だけに収まらない執念ともいえるくらいの細部までの作り込みと作品への愛、そういったものが溢れてきて、わたしを捕らえて離さないのだと思います。
『やがて君になる』に触れていると、こよみのように「ありがたいけど悔しいんだよ! わたしもこんなお話を書いてやる!(バシバシ)」という気持ちになり、わたしの小説家としての創作意欲が激しくかきたてられます。
ふう。
少し気持ちを落ち着けて、ここからは、それぞれのメディアについて簡単に紹介します。
単行本
全8巻で完結しています。
全巻セットで購入しても5千円ちょいというお買い得価格です。
たったの5千円でこれだけ素晴らしい物語を楽しめるなんて最高すぎます。
いつでもどこでも読める電子版も最高ですが、前述した帯も最高なので紙版も最高です(さっきから最高しかいってない気がする)。
とてもシンプルな言葉なのですが、読み終わったあとに帯を見ると、「ああ〜、そうだよね、ほんとそうだよね。うんうん」とその巻のお話がフラッシュバックしてグッときます。
というわけで、電子書籍を購入したかたも、観賞用に紙版も購入することをオススメします。
こちらの 電撃大王公式サイト で1話と2話の試し読みができるので、ぜひご覧ください。
アニメ
全13話です。
内容的には、原作の5巻くらいまでです。
アニメ化で原作の途中までというと、ストーリーが改変されてしまっているのでは? という心配があるかもしれません。
しかし、このアニメに限っては、そんな心配はまったく不要です。
アニメ化にあたっては、作者の仲谷鳰さんもガッツリ参加されています(第6巻あとがき漫画より)。
さらに、原作愛にあふれるスタッフによって、原作を見事に再構成して、アニメならではのストーリーを少し付け加えながらも、原作に忠実な終わりかたをしています。
このアニメのすごいところは、まったく無駄がなく美しい演出です。
アニメならではの動きや色彩や音などを効果的に活用しているだけでなく、漫画では見ることができないコマとコマの間を素晴らしい形で補完しています。
すべての演出に意味が込められているので、一秒たりとも目を離すことができません。
また、声優さんの演技もとても素晴らしいです。
侑も燈子も沙弥香も、もちろんほかの登場人物たちも、イメージにぴったりすぎて最高です。
その素晴らしさと言ったら、作者の仲谷鳰さんと担当編集のクスノキさんをして「これは完全版『やがて君になる』だなって言い合っています(引用元:【特別対談】『やがて君になる』仲谷鳰×担当編集・クスノキ「エゴがキャラクターを決める」)」と言わしめたほどです。
ぜひこのクオリティで続きの2期を制作してほしいです。
dアニメストア で全話見ることができます。
ブルーレイとDVDも販売されています。キャストオーディオコメンタリーや、スタッフオーディオコメンタリーも収録されているという贅沢な逸品です。
舞台
全6話です。
内容的には、原作の6巻+アルファという感じです。
こちらもアニメと同様に原作の途中までなので、ストーリーが改変されてしまっているのでは? という心配があるかもしれません。
しかし、アニメと同様にその心配はまったく不要です。
原作を見事に再構成して、舞台ならではのストーリーを少し付け加えながらも、原作に忠実な終わりかたをしています。
アニメよりも短い時間なので、かなりのストーリーがカットされていますが、まったく不自然さを感じさせません。
さらに、役者のみなさんがこれまたすごくて、『やがて君になる』界から降臨したと見間違うほどです。
侑が、燈子が、沙弥香がこの世界にいたら、まさにこういう感じになるだろうという素晴らしさ。
時間的空間的制約がある舞台だからか、やや早口で原作よりも元気に動き回る感じの侑がかわいらしくてよかったです(個人的には都さんが都さんすぎてすごくよかった)。
アニメとはまた違った、実際の人間が演技をするからこそうまれる存在感が伝わってきます。
また、舞台ならではの演出がとても素敵で、はじめて見たときには鳥肌が立ちました。
dアニメストア で全話見ることができます。
公式コミックアンソロジー
公式コミックアンソロジーは14人もの作家が集まって、『やがて君になる』の世界を描くという、超贅沢な本です。
しかも、第2巻では原作者の仲谷鳰さんによる『やがて君になる』新作短編も含まれています。
外伝的なお話や、後日談が大好きなわたしにとっては、なんともうれしい本です。
幕間のお話や、単行本のカバー裏の漫画が好きなら、きっと楽しむことができます。
本編を読み終わって、もっと『やがて君になる』の世界に浸りたい気持ちになったら、ぜひ公式コミックアンソロジーを読んでみてください。
スピンオフ小説 『やがて君になる 佐伯沙弥香について』
全3巻です。
『やがて君になる』の登場人物のひとり「佐伯沙弥香」が主人公のスピンオフ小説です。
電撃文庫で小説を書かれている入間人間さんが作者です。
入間人間さんは、最近だと、『安達としまむら』という作品がテレビアニメ化されたようです。
『やがて君になる 佐伯沙弥香について』は、1巻で沙弥香の小学生・中学生時代、2巻で高校生・大学生時代の導入、3巻で大学生時代を描いています。
スピンオフ小説だと、原作との矛盾があったり登場人物の雰囲気が違うでは? という心配があるかもしれません。
しかし、その心配はまったく不要です(同じようなことばかり書いてるけど、本当にそうなのです)。
原作の限られた設定や人物像をしっかりと拾い集めて、それをとてもうまく広げています。
原作を読んでから小説を読むと、「これはまさに佐伯沙弥香の小説だ!」と感嘆すること間違いなしです。
原作では表現されなかった沙弥香の気持ちや、原作のあとの沙弥香を見ることができて、すごくすごく最高です。
『やがて君になる画集 アストロラーベ』
『やがて君になる』の画集です。
単行本の表紙や連載当時のカラーページだけでなく、書店での販売特典イラストや書き下ろしイラストなど、アストロラーベでしか見られないイラストもたくさんあります。
アストロラーベの何がいいかというと、イラストをフルバージョンで見られることです。
たとえば、単行本の表紙は、背表紙やバーコードを表示する欄があるので、途切れていたり隠れてしまっている部分があります。しかし、アストロラーベでは、そういったものが全くない状態で、素敵なイラストを堪能できます。
さらに、作者の仲谷鳰さんのコメントつきです。
「このイラストはこういう意図で描いたのかー」とか、「うんうん、そうだよね」とか言いながらコメントを読むと最高に楽しいです。
アストロラーベとは天体観測用の機器のことらしいです。
それに合わせて、各章のタイトルが「シリウス」や「カノープス」というように星の名前がつけられているところがとても素敵です。
本編の各話のタイトルもとても素晴らしいですが、アストロラーベのタイトルも素晴らしいですね。
アストロラーベの世界を堪能すると、幸せな気持ちになれること間違いなしです。
まとめ
長々と書いてきましたが、言いたいことはひとつです。
「仲谷鳰さんの『やがて君になる』がとにかく最高なので、ぜひ読んで(見て)ほしい!」です。
原作の漫画はもちろんですが、それを取り巻くたくさんの作品群も最高なので、ぜひどっぷりと『やがて君になる』ワールドにハマってみてください。
晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。
本を出版しました!