*

タスククエスト ー世界への扉ー

第二十四話

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!係長、今の発言はどういう意味ですか!?」わたしは、係長の突然の発言に狼狽してしまった。

係長はさっき確かにこう言ったよな?『これは、わたしととしの旅行券よ。あの世界へのね。』

あの世界って、あの世界って…あの世じゃないよな?係長に睨まれて死んでしまう、なんてオチはごめんだ!

いやいや、『わたしととし』と言ったんだからそれはないか。となると、やっぱり冒険の旅の世界か!?

「ん?なにを慌ててるの?これから取り掛かるプロジェクトの成功に至る旅行券、よ。もしかしてとしは、プロジェクトが炎上する方がお好みだった?」係長はとぼけているのか本心か、いつものすました笑顔でわたしを見ている。

「あ、あー。そういうことでしたか。あ、いや、もちろんそうだと思ってましたよ。炎上させないようにがんばりましょうね。」わたしはホッとするような残念なような気持ちで胸をなでおろした。

「ひょっとして…」係長はニヤニヤしながらわたしの顔を覗き込む。か、顔が近い!「二人で海外旅行に行くお誘いだとでも思ったの?としったら、やーねー。」

係長がふわりと笑うとシャンプーの香りがする。わたしは火照る頬を気にしながら、強がって言った。「ま、ま、ま、まさか!そんなわけないじゃないですか!夢見が悪かったので勘違いしただけですよ。」

「ふーーーーん。夢見がねーーーー。」係長がさらにニヤニヤしながらわたしの周りをぐるぐると歩く。わたしはハンカチ落としで真ん中に座らされたような居心地の悪さを感じた。

「さて、前置きはこれくらいにして!」係長がバンとホワイトボードを叩く。「続きをするわよ。」

相変わらず突然の切り替えに呆然とするわたしをよそに、係長は凛と話し出した。「処理が終わったところまではわかったわよね?次は、処理した内容を元に、ネクストアクションを決めるのよ。」そして、ホワイトボードを指し示した。

 

『問題点を整理する』
→プロジェクトへ。
『交通費を精算する』
→二分以内にできるのですぐにやる。
『新工場を立ち上げる月乃精密の会社紹介の資料』
→資料へ。

 

「『新工場を立ち上げる月乃精密の会社紹介の資料』は資料行きだから、今回はよけておくわね。『交通費を精算する』はすぐにやることなので、すぐにやることチェックリストに書き写して片付けちゃいましょう。ここまではいい?」わたしはようやく気持ちを切り替えると、係長の話に集中し始めて頷いた。

「では、残るは『問題点を整理する』ね。これはプロジェクトなので、複数の行動を含んでいるわ。なので、まず具体的な行動に落とし込むの。はい、落として!」係長は、わたしを真っ直ぐに指差した。

「えーと、同様のプロジェクトを担当した部署から資料を送ってもらって分析する。あとは、新工場の責任者と打ち合わせをする、と。それから、議事録から課題を抜き出す、かな。こんな感じでしょうか?」わたしは収集したときのメモ帳を見返しながら、思いつくままに挙げた。

係長は、わたしの発言をホワイトボードに書き終わると、こちらを振り向いて言った。「そうね、他にもいろいろとあるけど、まずはそのくらいでいいわ。」

 

『資料を送ってもらって分析する』
→連絡待ちリストへ
『新工場の責任者と打ち合わせをする』
→カレンダーへ
『議事録から課題を抜き出す』
→ネクストアクションへ

 

そして、ホワイトボードを指し示し、話を続ける。「行動することは、この三つに分かれるのよ。『資料を送ってもらって分析する』のは連絡待ちよ。資料が届くまでは行動できないけど、忘れたらいけないので連絡待ちとして置いておくの。次に、『新工場の責任者と打ち合わせをする』は、予定なのでカレンダーにいれておくのよ。そうすれば、この行動のことはカレンダーが覚えておいてくれるわ。」

係長は、ふぅと一息つき、メガネを外した。少し潤んだ瞳が輝いている。わたしは思わず見つめていたが、急いで視線を外した。いかんいかん。

「最後はこれね。」と係長は、メガネをかけながらホワイトボードを軽く叩く。「『議事録から課題を抜き出す』は、ネクストアクションへいれるのよ。」

わたしはふと疑問を口にした。「ネクストアクションにいれた行動はどうするんですか?」

係長が瞳をさらに輝かせて言った。「おっ!いいところに気がついたわね。それはね…。」「それは…?」「次回のお楽しみ~。」がくっ。係長ってこんな人だったかな?

「次回って、明日の会議のことですか?」わたしが予定を確認しながら言うと、係長が囁く。「いいえ。次回、あの小屋に戻った時のことよ。」

「えっ!?係長!今なんと?」と言ったあとで、先ほどのやり取りを思い出して、我に返る。「いやいや、もうその手には乗りませんよ。」

「ふふふ。今度は本当よ。わたしも自信が持てなかったから、としの様子を探っていたのよ。」係長が、今度は真っ直ぐにわたしの目を見つめながら答えた。

「やっぱり係長も冒険の旅の世界に行ってたんですね!どうしてあんな世界に行くようになったんですか!?」

「それはわたしにもわからないの。それに、行っているのかどうかも…」

「え?どういうことですか?」「ううん、なんでもないわ。ところで、向こうに戻る方法はなんとなく見当がついているの。」

「そうなんですか?じゃあ、早く行きましょう。みんなのことが気になります。」「本当にいいの?」「もちろん!」

「じゃあ、我慢してね。えいっ!」「わっ、係長!なにするんですか?」「だって、向こうに戻りたいんでしょ。多分、としが気を失うと戻れるのよ。」「そんな、多分って理由で気絶させるんですか?」「他に心当たりがないんだもの。しょうがないじゃない。」

「うーん、しょうがないんだろうか?わ、わかりました。せめて痛くないようにお願いします。」「まかせて。漫画で見たことあるからバッチリよ。」「漫画の知識か…」不安がいっぱいに広がるが、自分で気絶することもできないし、とわたしは覚悟を決めた。

「えいっ!」係長の拳がみぞおちにきれいに入る。「ぐっ。」突き抜けるような痛みとともに、呼吸が止まり意識が遠くなる。「あれ?やりすぎたかしら…」係長の声が遠くから聞こえてくる。係長…それはないですよ…。

そして真っ暗闇。

 

解説

 

第二十四話を読んでくださって、ありがとうございます。

さて、前回はGTDの処理のステップが終わりました。

そして今回は、処理で明らかになった行動を振り分けます。それが、係長が説明した、連絡待ち、カレンダー、ネクストアクションの三つです。そして、いよいよ行動のステップに入ります。今までの準備は、すべてこの時のためのものです。ドキドキしますね。

そして、気を失ったとしがどうなるかもドキドキです。

 

読者コーナー

 

今回も読者コーナーのお時間がやってきました。
今回は、第二十三話へのコメントを掲載します。

今回コメントをくださった方々はこちらです!
(掲載は、時間が早い順番です。)

 

 

neunzehnさん、ありがとうございます!そうですね。収集フェーズは、基本となるデータを集めるところなので大切ですよね。時間がかかるので、つい飛ばしがちですが、急がば回れの精神でじっくり取り組みたいところです。

 

 

 

おがわさん、ありがとうございます!先送りは本当に難しいです。大抵良くない結果になることがわかっていながら、つい先送りしてしまいます。スフィンクスの問いは常々心がけたいものです。そして、さすがの係長ファンですね。

 

 

ひろきさん、ありがとうございます!係長は、すっかりピチッとしたパンツスーツがお似合いになりました。終わり方が「ゾクッ」とした、とは嬉しい表現です。これからもゾクゾクするお話しを書いていきます。

 

 

まっちゃん、ありがとうございます!収集は得意なんですね。素晴らしいです。今後もタスククエストを読んで、処理も行動も得意になってください(宣伝)。係長への感想が、女性らしくて素敵です。

 

 

ひろきさん、ありがとうございます!ショリのイメージがつかみやすくて良かったです。なるべくわかりやすく、がモットーなので嬉しいです。わかりにくいところがあれば、ご指摘くださいね。そして、係長人気が高まっていますね。

 

 

マーさん、ありがとうございます!二つの世界がつながるかどうかの瀬戸際です。次回の結果をお楽しみに!

 

 

マロさん、ありがとうございます!朝から読んでくださって嬉しいです。最後のフレーズは、今回明らかになりましたね。さて、次回はどうなっているのでしょうか?お楽しみに!

 

みなさん、今回も素敵なコメントをありがとうございました。

というわけで、今回の読者コーナーは、これにて終了します。

 

ご挨拶

 

いつも応援してくださるあなたに、心より感謝します。

また、こんないい方法もあるよ、というご意見がありましたら、わたし(@toshi586014)宛にお知らせください。
もちろん、ストーリーに関するご感想も大歓迎です。

それでは、次回またお会いできることを、楽しみにしています。

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

 

【前回のお話】

 

タスククエスト ースフィンクスの問いー | はれときどきくもりZ

 

【タスククエストまとめはこちらです】

 

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このブログで連載中のタスク管理を題材にした小説です。ストーリーを楽しみながらタスク管理を身につけられるおもため話し(おもしろくてためになる話し)を目指します。興味をお持ちのあなた、ぜひこちら↓のタスククエストまとめをご覧ください。
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