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アプリガール 〜Segue編Part2〜【創作の本棚】


登場人物紹介

小津 丈夫(おづ たけお)

MacとiPhoneが好きな高校生。幼なじみの理沙に誘われて、しぶしぶながらもアプリ開発をはじめた。ひょんなことからアプリガールの凛子を呼び出してしまった。

理沙

丈夫の幼なじみで同じクラスの女の子。開発者である父親の影響で、アプリ開発をはじめた。丈夫と一緒に開発をしたくて、丈夫をアプリ開発の世界へと勧誘した。
丈夫と凛子が仲良くしてるとなぜかイライラしちゃう内気な子。

凛子

髪の色と同じ碧い瞳とツインテールが特徴の自称(?)アプリガール。アプリの世界からやってきて、『こちらの世界』にアプリ開発を広めるのが目的らしい。本人いわくアプリ開発のことならなんでもござれとのこと。ただし、現在は記憶喪失でアプリ開発初心者同然に。
交換留学生の名目で、丈夫の家に生息中。

〜Segue編Part2〜

これまでのあらすじ

前回のお話『アプリガール 〜Segue編Part1〜』

 画面遷移のやりかたに興味を持った丈夫と凛子。そんなふたりに、理沙がSegue(セグエ)について教えてくれるという。Macを取りにもどった理沙が置いていったiPhoneには『Segueの使いかた』と題されたブログ記事が表示されていた。

本編

「おまたせー」

 MacBook Airを抱えて、理沙が部屋にはいってきた。そして、ちょこんと床にすわると、ジャーン♪と効果音をつけながらMacをあける。

「さあ、いくわよリサリサちゃん」

 そう言ってトラックパッドの横に貼ったステッカー──なんだかずいぶん昔っぽいMacのイラストだ──をナデナデすると、電源ボタンをターッンと押した。Macが起動するのを待つあいだに、理沙は僕が手に持っているiPhoneを指さして尋ねる。

「どうだった?」

「ああ、バッチリやで。この『Segueの使いかた』っちゅう記事はわかりやすうてええな」

 凛子がピースしながら答えると、理沙はニコリと笑った。ん? あの笑顔は……。

「でしょー。あのブログ『アップリ科』っていうんだけど、情報の正確さと内容のわかりやすさで定評があるってパパが言ってたんだ」

「うん、たしかにわかりやすかったよ。でも、情報の正確さってどういうこと?」

 僕がたずねると、理沙がまたあの笑顔でニコリとしながら「それはあとでね」と言う。なんだか含みがあるなあ。

「さあ、準備オッケー。はじめましょう。凛子ちゃん、やってみる?」

 理沙の声を合図に、凛子はやったるでぇと腕まくりをして──袖がない服なんだけど──Macの前に座り画面をのぞきこむ。すでにXcodeが立ちあがり、Storyboard(ストーリーボード)にはふたつの画面が追加されていた。

「ほうほう、このふたつの画面をSegueでつなぐっちゅうワケやな。カンタンカンタン」

「ふたつの画面にはあらかじめボタンを置いてあるから、それを押したらおたがいの画面を行き来できるようにしてね 」

「まかしとき!」

 返事と同じように、凛子の手が威勢よく動きはじめた。「このボタンにSegueをつけるんやったな。えーと、ボタンにSegueをつける、ボタンにSegueをつける……」あれ? 心なしか手の動きの勢いが落ちてきている気がする。

「あかん。さっきの記事を読んでバッチリや思うたけど、いざやろうとしたらまったくわからへん。丈夫、交代や」

 そう言うと凛子は、タッグパートナーにタッチをもとめるプロレスラーのように片手を高くかかげた。僕は意気揚々とタッチをすると、Macの前に座る。凛子ったら、アプリガールとか言ってるくせにこんなこともできないのか。さっきの記事のとおりにすればいいんだろ。カンタンカンタン。

 僕はトラックパッドを操作して、画面のボタンをクリックする。こいつにSegueをつなげばいいんだったよな。えーっと、どうやってつなぐんだったかな? たしか、ボタンをクリックして、それから……。

「ボタンにSegueをつける、ボタンにSegueをつける……」

 いつのまにかさっきの凛子と同じセリフを口にしていることに気がついた。なぜだ? 『Segueの使いかた』の記事を読んでバッチリ理解したはずなのに?

 僕は理沙のほうをむいて降参のポーズをとる。おてあげだ。すると、理沙はさっきと同じ顔で笑うとMacの前にすわった。そしてキーボードにそっと手を置いて、静かな声で話しはじめた。

「『見るのとやるのでは大違いだよ』ってパパがよく言うの」

 それでね、と理沙はキーボードをパタパタたたくふりをして「『まずは手を動かすことが大事なんだよ』って続けるんだ」そう言うとこちらを向いてニッコリと笑った。

「そうか、わかったよ。じゃあ、僕たちでひとつひとつ順番にやってみるから教えてよ、理沙」

「ふふふ、もっちろん!」

「ほな、まずはうちからやでー」

 かけ声とともに、凛子が僕と理沙のあいだにむりやり入りこんでくる。しかも、なぜかにらまれてしまった。なっ、なんだよとつぜん?

 凛子は理沙にかわってMac──そういえばリサリサちゃんと理沙は呼んでたな──の前にすわると、僕を手招きした。

「ほらほら、丈夫。はよこっちおいで。そんな離れてたら一緒にできへんやろ」

 そう言って自分の右隣の床をポンポンとたたく。僕が呼ばれるままに凛子の隣にすわると、凛子が「なあ、丈夫。ほんで、どうやってやるんや?」とにじり寄ってきた。ちょっ! ち、近いよ!

「ハイ! ふたりとも。わたしが説明するからちゃんと聞いてよ!」

 理沙がとつぜん大きな声をだして、僕の右側にすわった。そして、僕の右手をとって「丈夫くん、わたしが言うとおりにやってね」と言う。ちょっ! そんなに手を握られるとっ! じ、自分でできるからっ!

「  「  「
な  な  ね
あ  っ  え
、  、  、
 え ふ わ
え  た  た
や  り  し
ろ  と  と
た  も  や
け  や  ろ
お  め  う
〜  て  よ
」  」  」

 ふたりとも突然なんなんだ、わけがわからないよ。僕はそっとため息をつく。アプリ開発と女の子はむずかしい……。

つづく。

 

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

参考文献&アプリ

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