小説家志望ブロガーとし(@toshi586014)です。
エッセイを書くのは楽しいです
前回、はじめてエッセイを書きました。
新しい試みだからか、性に合っているのか、スラスラと筆が進み、楽しく書くことができました。
また、ありがたいことに、TwitterやFacebookでお褒めの言葉をいただきました。しかも、Pocketに保存した方もいらっしゃるようです。
というわけで、調子に乗ってまたまたこの文章を書いています。今回は夏真っ盛りなこの季節にふさわしい怪談話です。
ほぼ、わたしの思考の垂れ流しですが、楽しんでいただければ幸いです。
父の怪談体験
わたしは怪談やホラーが大の苦手です。
幼稚園の頃に、遊園地でお化け屋敷の入り口を見ただけで泣き出したこともあります。いや、だって、入り口に一つ目小僧の人形が飾っていて、それが異様に怖かったんですよ!まあ、今思うとかわいらしい人形だったのですが。
小学生の頃には、学級文庫(はい、そこのあなた。両手の人差し指で口の端を広げて学級文庫と言わない!)の漫画日本昔話で半泣きになっていました。いや、だって、鬼がやってきて村人を食べてしまうのですよ!しかも、首がバリバリ裂けるひどい話なんです。そりゃあ、鬼太郎もダッシュで土下座するレベルですよ!まあ、今思うと紙人形のような全く怖くない絵だったのですが。
そんな怖い話が苦手なわたしですが、たったひとつだけ、ずっと心に残っている怪談があります。
それは、父の怪談です。
これからお話しするのは、わたしが小さい頃__確か幼稚園の頃でしょうか__に父が聞かせてくれた怪談です。しかも、父の実体験です。怖い話が苦手なあなたは目を細めて読んでください。
時は父が子どもの頃。場所は父の故郷です。
父だと臨場感が出ないので、仮に雄太とします。
雄太の故郷は、田んぼや畑がたくさんある田舎町にありました。雄太の家も昔ながらの農家で、お米や野菜などを作って生計を立てていました。
その当時、雄太の家にはたくさんの動物がいました。牛や山羊や犬や猫、そして大熊猫……はさすがに飼っていませんね。とにかく、たくさんの動物に囲まれて、雄太は動物好きに育ちました。
そんなある日のこと。雄太は、かわいがっている猫を連れて、近所のスーパーにおつかいに行きました。一人でのおつかいにうきうきしながら、雄太はスーパーへと向かいます。
雄太は無事にお買い物を終えてお金を支払い、スーパーをあとにします。雄太が外に出ると、太陽は傾きはじめていました。買い物の荷物を持ち、雄太は夕闇の中を家へ向かって歩いていました。
その時、雄太はふと気がつきます。
あれ?一緒に来ていた猫がいない。
雄太はスーパーではぐれたのだと思い、急いでもと来た道を戻ります。買い物の荷物が雄太の手に重くのしかかりますが、かわいい猫のために雄太は足を早めました。
スーパーに着く頃には、あたりはすっかり暗くなっていました。暗闇の中でスーパーだけが煌煌と輝いて、まるで別世界への入り口のようです。
雄太はスーパーの中へと続く扉をくぐりました。もう遅い時間だからでしょう。ほとんど人気はありませんでした。周りを見回すと、レジに知り合いのおばさんが立っているのに気がつきました。雄太はホッと息をつき、レジへと駆け寄りました。そして、後ろを向いているレジのおばさんに向かってこう聞いたのです。
「おばさん、僕の猫を見なかった?」
おばさんは、後ろを向いたまま答えます。
「猫だって?それはもしかして茶色の猫かい?」
おばさんが猫を見ていてくれたのかも、そう思って雄太は安心して頷きました。
「うん、茶色の猫だよ」
すると、おばさんがゆっくりと振り向きながらこう言うのです。
「その猫ならもういないよ。だって、わたしが食べちゃったんだからね」
振り向いたおばさんの顔には、目も鼻もありませんでした。ただただのっぺりとした真っ白な顔に、三日月のような口だけがあります。その口からは鮮血が滴り落ちていました。
雄太はあまりの出来事に驚いて、後ろも振り返らずに一目散に家へと逃げました。自分の心臓の鼓動が、吐く息が、土を蹴り上げる音が、夜の闇が、この世界の全てが自分を追いかけてくるように感じます。
息も絶え絶えで家へと帰り着いた雄太は、今日の出来事を母親に話しました。すると、母親の口から驚くべき事実がこぼれました。
「その方なら、三日前に亡くなったんだよ」
おしまい
きゃーーーー!
はっ、ごめんなさい。つい怖くて。このお話しを書いているだけで、寒くなってきます。志村ー後ろ後ろという声が聞こえないのに、思わず後ろを振り返ってしまいます。
怖いですねえ。やっぱりわたしには怪談は書けないようです。
さて、冒頭でも紹介したとおり、このお話しは父の実体験です。とはいえ、このお話しの当時にわたしはいないので、この目で見たわけではありません。心霊現象にはやや懐疑的なので、もう一度父に確かめたいところですが、すでに父は亡くなっています。また、祖父や祖母も同様です。
しかし、あの真面目で優しい父が話してくれたことなので、きっと事実なのでしょう。と、わたしは信じています。
お盆にでも帰ってきてくれたら聞いてみたいところですが、恥ずかしがり屋なのでなかなか姿を見せてくれません。それとも、わたしが怪談を苦手なのを覚えていてくれて、遠慮しているのかもしれません。
まあ、いずれはわたしから会いに行くので、焦る必要はありません。
久しぶりの再会の第一声はどうしましょう?いきなり、あの怪談ホントだよね?と聞くのもぶしつけです。ここは当たり障りなく
「元気?」
くらいにしておきましょうか。
晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。
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多数のありえない事実を吹聴する人は信じられませんが、たった一つ不思議なことを疑いながらも覚えてる人は不思議経験したんじゃないかと思ってます。としさんのパパさんも三日前に亡くなったおばさんと本当に話したのかも。ギャアアと思いましたが、パパさんの話を最後にしたとしさんの穏やかな口調に恐怖は薄まりました。お盆に会えるといいね。
豊さん、ありがとうございます!わたしも不思議な体験なので半ば疑いながらも、父のいうことだから本当だったんだろうなと思ってます。
ギャアアな話なのに読んでくださって嬉しいです。ホントにお盆に会えたらいいなあ。
豊さんのコメントにとてもほっこりしました。このエッセイを書いて良かったです。