iOS 11 Programming。それは新時代を予感させる技術書

iOS 11 Programmingとは

iOS 11 Programming は、名前のとおりiOSアプリ開発についての技術書です。

濃い内容と、クラウドファンディングで読者を集めてから執筆するという方式で、発売前から話題になっていました。

執筆陣と目次

iOS 11 Programmingは、そうそうたるメンバーが集まって書いた本です。

執筆陣

こちらがそのメンバーです。

堤 修一さん、吉田 悠一さん、池田 翔さん、坂田 晃一さん、加藤 尋樹さん、川邉 雄介さん、岸川 克己さん、所 友太さん、永野 哲久さん、加藤 寛人さん。

ネットや勉強会や技術書の執筆などでご活躍のかたばかりなので、名前を見たことがあるのではないでしょうか。

目次

目次はこちらです。

はじめに
第1章 iOS 11 概要
第2章 ARKit
第3章 Core ML
第4章 Swift 4の新機能とアップデート
第5章 Xcode 9 の新機能
第6章 Drag and Drop
第7章 FilesとDocument Based Application
第8章 レイアウト関連の新機能及び変更点
第9章 Core NFC
第10章 PDF Kit
第11章 SiriKit
第12章 HomeKit入門とiOS 11のアップデート
第13章 Metal
第14章 Audio関連アップデート

目次だけでもその内容の濃さがかいま見れてワクワクします。

対象読者

iOS 11 Programmingは入門書ではないので、Xcodeの使いかたや、Swiftやプログラミングの基礎知識の説明はまったくありません。基本的には、すでにそういった知識を身につけて、実践的にアプリ開発をしているかたに向けた本といえます。

とはいえ、iOS 11 Programmingほどさまざまなテーマについてまとまった本は他にないので、理解はできなくても手元に置いてパラパラと読むことをオススメします。

理解はできなくても一度からだのなかを通すことで、自分のなかに知識の地層として積もります。そうすると、アプリ開発をつづけて自分の理解度が深まっていったときに、あの本で読んだことはこういう意味だったんだ! と、知識の地層から掘り起こすことができます。

きっかけはARKit

わたしが個人で開発している こぱんたっぷAR パンダクリンAR というアプリがあります。

名前のとおりAR機能をつかっているので、ARKitについてはとても興味があります。iOS 11 Programmingでは、ARKitについての章があると知って、ぜひ読みたいと思っていました。

実際に読んでみると、とても素晴らしい内容で期待以上でした。ARKitというフレームワークは、その高機能な内容とは裏腹に、とてもシンプルです。しかし、画面上の座標をAR空間上の座標に変換したり、ヒットテストで現実空間を認識したりといったように、あまりなじみのない技術をつかいます。そのため、どのような場面でどのように実装すればいいのかということは、実践しながら試行錯誤するしかありません。

こぱんたっぷARを開発したときは、iOS11と同時リリースするために、公式リファレンスなどの数すくないARKitの情報をもとにかなり試行錯誤しました。あのときにiOS 11 Programmingがあればなあ、という気持ちになるくらい、体系的にわかりやすくまとめられています。

気になるテーマが盛りだくさん

ほかにも気になるテーマが盛りだくさんです。

第4章 Swift 4の新機能とアップデート
第5章 Xcode 9 の新機能

あげればキリがないですが、 スノウロビン でiOSアプリエンジニアとして毎日アプリ開発しているので、やはりXcodeやSwiftがどのように変わったのかが気になります。

第8章 レイアウト関連の新機能及び変更点

また、現時点ではあまり注目されていませんが、iOS11ではユーザーインターフェースの意欲的な変更も盛り込まれています。おそらく、iPhone Xを皮切りに、新時代の端末(ARやVR端末もあと数年で発表されるのではないかと楽しみにしています)に向けた改革を進めていると考えています。そういった意味でも、iOS11でのレイアウトも気になります。

第6章 Drag and Drop
第7章 FilesとDocument Based Application

最近、iOSアプリがmacOSで動くようになるという噂がチラホラと聞こえてきます。あくまで噂なので、実際にどうなるかはわかりませんが、アップルとしてもmacOSとiOSの定義やありかたについては常に探っていることでしょう。

その成果のひとつともいえる機能が、Drag and DropとFilesです。パソコンではあたりまえのDrag and Dropやファイル管理という仕組みが、ついにiOSでもオープンに導入されるのです。今後のアプリ開発のためにも、いまからしっかりとおさえておきたいところです。

ここではあげなかった章も、それぞれの専門分野について見事にまとめあげられています。

ネットで探せば、個々の情報は簡単に手にはいります。しかし、個々の情報に個別に触れるのと、体系的にまとまった情報に触れるのでは、その密度や体験がまったく異なります。そういう意味でも、自分が気になる章がひとつでもあれば、購入する価値は十分にあるでしょう。

あたらしい出版のカタチ

最初にもすこしふれましたが、iOS 11 Programmingは、PEAKS という技術書クラウドファンディングサービスで執筆・出版されました。

出版社から本を出版する場合は、企画→執筆→出版という流れになるので、実際に出版されるまでどのくらい売れるのかわかりません。

しかし、PEAKSはクラウドファンディングなので、企画→購入予約→執筆→出版という流れになります。執筆をする前にどれくらい売れるのかわかるので、出版社としてもリスクが少なくなります。そのため、iOS 11 Programmingのようにチャレンジングな本も出版することができます。

また、著者にとっては、書く前から読者がいるというのはとても心強いことです。

わたしも iPhoneアプリ開発の入門書を執筆しているところですが、自分が書いた本がどれだけ読んでもらえるのだろうか? ぜんぜん読んでもらえないのでは? と、不安になることがよくあります。しかし、Twitterなどで、出版したら買って読みます! と応援してくださる声をはげみにして書いています。

技術書クラウドファンディングは、出版社・著者・読者のみんなが幸せになれるあたらしい出版のカタチといえるのではないでしょうか。

充実した内容はもちろんのこと、出版方法も素敵なiOS 11 Programming。アプリ開発に携わるかたには、ぜひ読んでもらいたい1冊です。

おまけ

iOS 11 Programmingには、紙版と電子版があります。

紙版は、読みやすさとランダムアクセスのしやすさがメリットです。とくに技術書はパラパラと読みたくなることがあるので、そういうときには紙版がむいています。

いっぽう、電子版は簡単に持ち運べるところがメリットです。待ち時間などにさっとiPhoneをとりだして読むこともできます。また、検索することができるところも魅力です。

この記事を書いているいま(2018年2月3日時点)なら、発売記念1,500冊限定セールをしているので、思い切って両方とも購入してみてはいかがでしょうか。

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

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とし
主夫で育児メンで小説家でアプリ開発者でアプリ開発講師でアプリ開発本執筆中でLINEスタンプ作者でブロガーのとしです。 このブログは、タイトル通り晴れた日も曇った日も人生を充実させるちょっとした楽しさを取り上げます。それが少しでも誰かのお役に立つ日がくれば幸いです。

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