歩道のヘリ


透明な青色に輝く空に、切り絵のような雲がてんてんと白を落とす。

そんなある日。

外を歩いていると、不思議な集団にであった。

『不思議な』と言っても、口から火をふいたり、大きな刀を飲みこんだりしているわけではない。

ごくふつうの作業服を着た集団だが、その行動に不思議さを感じたのだ。

十人以上の作業服人(※さぎょうふくひと=ここでは作業服を着た人のことを表す。ねんのため)が、歩道の隅にしゃがみこむふたりの作業服人を取り囲むように立っていた。なかにはカメラやビデオで撮影している作業服人もいる。

興味をもったわたしは、しゃがみこむふたりの作業服人がなにをしているのかのぞきこんでみた。

すると、そこでは歩道のヘリ(※冒頭の写真の歩道と道路の境目の緑色の部分)を削ってきれいに整える作業がおこなわれていた。

わたしはそのときはじめてこの世界にそういう仕事があることを知った。いや、認識したと言うべきか。そして、この作業服人たちのおかげで、一歳児(※とてもかわいい)をベビーカーにのせて出かけるときに助けてもらってることに気がついた。

わたしは心の中で『いつもありがとう』とつぶやき、その場を立ち去った。

この世界はひとりひとりの人間の小さな営みが積み重なってカタチヅクラレテいる。そんなごく当たり前のことをいまさらのように実感した。

それいらい、ベビーカーを歩道に乗りあげるときに引っかかることなくスイッと登れると、わたしはこのときのことを思いだす。

そして、わたしのちいさな仕事たちもこの世界の誰かのためになることを祈らずにはいられない。

この世界をカタチヅクルひとつのピースとなれますように、と。

 

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

 

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肉めないニクLINEスタンプをリリースしました!


LineUserStickers

肉めないニクLINEスタンプをリリースしました!

先日『肉好きなあなたに贈る。LINEスタンプ第二弾は『肉めないニク』』でお知らせした『肉めないニク』のLINEスタンプが無事に審査を通過しました。

あれから約5ヶ月

ニクLINEスタンプを申請したのは2014年10月のことでした。

それからまもなく審査中になったので、「おっ、けっこう早く審査終わるかな」なんて思ったものです。しかし、それからあれよあれよと月日は経過して、気がついたら約5ヶ月がすぎていました。

時間が経ちすぎたので、すっかりひからびて干し肉になってしまうかとヒヤヒヤしました。でも、なんとか無事に審査を通過できました。ホッ。

LINEストアにて販売開始

というわけで、肉めないニクスタンプは本日よりLINEストアで販売開始します。ダウンロードはこちら↓です。

肉めないニクスタンプ

監修とし、作画妻、アドバイス四歳児、ツッコミ(という名のおじゃま)一歳児という、Studio Rainbow総出による渾身の一作です。

毎月29日の肉の日には、ぜひ憎めないニクスタンプで盛り上がってください。また、肉への熱い想いを表現したいときには、肉汁あふれるゴージャスなあいさつを繰り広げてください。

そして、サシ入り肉だけに、親子や友達同士のサシの会話でぜひお使いくださいね(ドヤ顔)。

おっと、最後にもうひとつ。かわいいおとうぱんとこぱんが繰り広げる、キュートでたまにシュールなぱぱんだっこLINEスタンプも一緒にかわいがってあげてください。

ぱぱんだっこLINEスタンプ

それでは、これからも虹色工房(Studio Rainbow)をよろしくお願いします。

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

 

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アプリガール 〜Segue編Part1〜【創作の本棚】 | はれときどきくもりZ

 

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創職活動の経過報告。iOSアプリ開発講師をはじめました。


とつぜんですが、2015年2月からiOSアプリ開発講師(Objective-C)をはじめました。

これまでの経緯

 

2013年12月から創職活動(求職活動のことなのですが、新しい仕事を創るという意味をこめて創職活動と呼んでいます。詳しくは『創職活動はじめました』をご覧ください)をしていました。

それから一年がすぎたので、経過報告します。

小説

コツコツと書いてこのブログで公開していた小説をAmazonKindle向けに出版しました。

それがこちら↓のあなたのココロを彩る絵本風ほのぼの小説『あずきちゃんと虹色クレヨン』です。

あずきちゃんと虹色クレヨンを出版しました! | はれときどきくもりZ

2014年12月には楽天Kobo向けにも出版しています。

楽天Koboライティングライフであずきちゃんと虹色クレヨンを出版しました | はれときどきくもりZ

ふじもなおのアトリエのイラストレーターふじもなおさん(@atelier_monao)の素敵な表紙と挿絵が楽しめますので、気になるあなたはぜひ読んでくださいね。

アプリ開発

iOSアプリ開発者になるための勉強をしました。

あきおさん(@akio0911)が主催されているブロガー向けiPhoneアプリ開発体験会アプリクリエイター道場開発塾、アプリ開発キャンプに参加しました。

また、RainbowAppsのiOSアプリマスターコースにも通いました。

そして、2014年6月に初のiPhoneアプリ『Astrowanderer(あすとろわんだらー)』をリリースしました。

新感覚ふわふわアクションゲームAstrowandererをリリースしました! | はれときどきくもりZ

Astrowandererは簡単操作で楽しめる(けど激ムズな)アクションゲームです。わたしが大好きだったなつかしのファミコンゲームのようなアプリを目指しました。

さらに、2014年8月に二つめのiPhoneアプリ『ぱぱんだっこ』をリリースしました。

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主夫として育児をしている中で、育児を楽しくしたいと願っていました。そのため、パパが子どもの健康を管理しつつ、スキンシップも楽しめるアプリを目指しました。

イラストは妻が、プログラムはわたしが、テストには四歳児に協力してもらって、家族総出で開発しました。

LINEスタンプ

わたしは、ぱぱんだっこの絵がかわいくて大好きです。なので、ある日妻にLINEスタンプにしてみない?とお願いすると描いてくれました!

というわけで、監修がわたし、絵が妻のとってもかわいいぱぱんだっこLINEスタンプを2014年11月にリリースしました。

ぱぱんだっこLINEスタンプをリリースしました! ゆるくて楽しいほのぼのスタンプです。 | はれときどきくもりZ

いまは、第二弾の肉めないニクスタンプの審査待ちしつつ、第三弾を計画中です。

肉好きなあなたに贈る。LINEスタンプ第二弾は『肉めないニク』 | はれときどきくもりZ

そしてアプリ開発講師

そして、話は戻りましてアプリ開発講師です。

それは2015年1月のことでした。

わたしが何度か参加させていただいている神戸のiOSアプリ開発勉強会『iDevKobe』のグループに問い合わせがあったと、主催者のようにゃん(@windblume)から連絡がありました。

その問い合わせというのが、アプリ開発スクールで講師を探しているというものでした。

そのお話を聞いたときに思いだしたのは2014年の年末のことです。

アプリ開発をはじめてちょうど一年が経ったそのころ、わたしは一年間をふりかえっていました。アプリをリリースしてたくさんの方に使ってもらったり、ジョブズも登壇した伝説のAppleStore銀座シアターでショートコントをしたり、激動の一年と言えるほどたくさんのことがありました。そんな素敵な一年をすごすことができたのは、アプリ開発をはじめたときからわたしを支えて励まして教えてくれた、たくさんの方々です。

わたしはそのご恩に報いるためにも、アプリ開発講師をしたいと思い描いていました。なぜなら、一年前のわたしと同じようなヒトの手助けをしたいからです。

アプリ開発に興味があるけど難しそうで尻込みしてしまうヒト。アプリ開発をはじめたいけどなにから手をつけていいかわからなくてオロオロしてるヒト。アプリ開発をはじめたけどわけがわからなくて困ってるヒト。

そんなヒトたちが進む手助けをしたい。アプリ開発は難しいけどけっして不可能ではない。そして、アプリ開発は楽しい。それらのとこを伝えたいと強く思うようになっていました。

そんな折に、アプリ開発講師を探しているという連絡があったのです。わたしは一も二もなく手をあげました。

もちろん不安はありました。はたして自分が人に教えることができるのだろうか?人に教えるという責任に耐えることができるのだろうか?

しかし、なにごともやってみなければわかりません。新しいことをはじめるのはいつだって不安がつきものです。そう自分に言い聞かせてわたしは講師の面接へと向かいました。

そういう経緯でアプリ開発講師をはじめてから、はや半月が経過しました。予想以上に大変な毎日を過ごしています。

授業の準備は大変で毎日遅くまでパソコンにむかっています。授業中はうまく伝えることができるだろうかとドキドキしています。授業が終わったからといって休む暇もなく、振り返りと反省をして次の授業に活かせるようにまとめを作ります。人に教えることはこんなに大変なのかと驚いています。

しかし、わたしは予想をはるかに上回る充実した毎日を過ごしています。

伝えたいことをうまく伝えることができたとき。わからなかったことを理解できた瞬間をみたとき。目を輝かせてアプリ開発に取り組む姿をみたとき。

そんなとき、毎日のつかれが吹き飛ぶほどの喜びを感じます。

こんな素敵な体験のきっかけを与えてくれたようにゃんとiDevKobeには心から感謝しています。また、アプリ開発をはじめてから支えてくれたたくさんの人たちにもとても感謝しています。

そして、いつもわたしを支えてくれる妻と子どもたちに心からの愛情をこめて、この記事を締めくくります。

ありがとう。

 

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

 

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アプリガール 〜Segue編Part1〜【創作の本棚】 | はれときどきくもりZ

 

ぱぱんだっこをリリースしました!赤ちゃんとのスキンシップを楽しみながら子どもの成長を喜ぶiPhoneアプリです。 | はれときどきくもりZ

 

あの激ムズをもう一度!新感覚ふわふわ劇ムズアクションAstrowandererにモード選択を追加しました。 | はれときどきくもりZ

 

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アプリガール 〜Segue編Part2〜【創作の本棚】


登場人物紹介

小津 丈夫(おづ たけお)

MacとiPhoneが好きな高校生。幼なじみの理沙に誘われて、しぶしぶながらもアプリ開発をはじめた。ひょんなことからアプリガールの凛子を呼び出してしまった。

理沙

丈夫の幼なじみで同じクラスの女の子。開発者である父親の影響で、アプリ開発をはじめた。丈夫と一緒に開発をしたくて、丈夫をアプリ開発の世界へと勧誘した。
丈夫と凛子が仲良くしてるとなぜかイライラしちゃう内気な子。

凛子

髪の色と同じ碧い瞳とツインテールが特徴の自称(?)アプリガール。アプリの世界からやってきて、『こちらの世界』にアプリ開発を広めるのが目的らしい。本人いわくアプリ開発のことならなんでもござれとのこと。ただし、現在は記憶喪失でアプリ開発初心者同然に。
交換留学生の名目で、丈夫の家に生息中。

〜Segue編Part2〜

これまでのあらすじ

前回のお話『アプリガール 〜Segue編Part1〜』

 画面遷移のやりかたに興味を持った丈夫と凛子。そんなふたりに、理沙がSegue(セグエ)について教えてくれるという。Macを取りにもどった理沙が置いていったiPhoneには『Segueの使いかた』と題されたブログ記事が表示されていた。

本編

「おまたせー」

 MacBook Airを抱えて、理沙が部屋にはいってきた。そして、ちょこんと床にすわると、ジャーン♪と効果音をつけながらMacをあける。

「さあ、いくわよリサリサちゃん」

 そう言ってトラックパッドの横に貼ったステッカー──なんだかずいぶん昔っぽいMacのイラストだ──をナデナデすると、電源ボタンをターッンと押した。Macが起動するのを待つあいだに、理沙は僕が手に持っているiPhoneを指さして尋ねる。

「どうだった?」

「ああ、バッチリやで。この『Segueの使いかた』っちゅう記事はわかりやすうてええな」

 凛子がピースしながら答えると、理沙はニコリと笑った。ん? あの笑顔は……。

「でしょー。あのブログ『アップリ科』っていうんだけど、情報の正確さと内容のわかりやすさで定評があるってパパが言ってたんだ」

「うん、たしかにわかりやすかったよ。でも、情報の正確さってどういうこと?」

 僕がたずねると、理沙がまたあの笑顔でニコリとしながら「それはあとでね」と言う。なんだか含みがあるなあ。

「さあ、準備オッケー。はじめましょう。凛子ちゃん、やってみる?」

 理沙の声を合図に、凛子はやったるでぇと腕まくりをして──袖がない服なんだけど──Macの前に座り画面をのぞきこむ。すでにXcodeが立ちあがり、Storyboard(ストーリーボード)にはふたつの画面が追加されていた。

「ほうほう、このふたつの画面をSegueでつなぐっちゅうワケやな。カンタンカンタン」

「ふたつの画面にはあらかじめボタンを置いてあるから、それを押したらおたがいの画面を行き来できるようにしてね 」

「まかしとき!」

 返事と同じように、凛子の手が威勢よく動きはじめた。「このボタンにSegueをつけるんやったな。えーと、ボタンにSegueをつける、ボタンにSegueをつける……」あれ? 心なしか手の動きの勢いが落ちてきている気がする。

「あかん。さっきの記事を読んでバッチリや思うたけど、いざやろうとしたらまったくわからへん。丈夫、交代や」

 そう言うと凛子は、タッグパートナーにタッチをもとめるプロレスラーのように片手を高くかかげた。僕は意気揚々とタッチをすると、Macの前に座る。凛子ったら、アプリガールとか言ってるくせにこんなこともできないのか。さっきの記事のとおりにすればいいんだろ。カンタンカンタン。

 僕はトラックパッドを操作して、画面のボタンをクリックする。こいつにSegueをつなげばいいんだったよな。えーっと、どうやってつなぐんだったかな? たしか、ボタンをクリックして、それから……。

「ボタンにSegueをつける、ボタンにSegueをつける……」

 いつのまにかさっきの凛子と同じセリフを口にしていることに気がついた。なぜだ? 『Segueの使いかた』の記事を読んでバッチリ理解したはずなのに?

 僕は理沙のほうをむいて降参のポーズをとる。おてあげだ。すると、理沙はさっきと同じ顔で笑うとMacの前にすわった。そしてキーボードにそっと手を置いて、静かな声で話しはじめた。

「『見るのとやるのでは大違いだよ』ってパパがよく言うの」

 それでね、と理沙はキーボードをパタパタたたくふりをして「『まずは手を動かすことが大事なんだよ』って続けるんだ」そう言うとこちらを向いてニッコリと笑った。

「そうか、わかったよ。じゃあ、僕たちでひとつひとつ順番にやってみるから教えてよ、理沙」

「ふふふ、もっちろん!」

「ほな、まずはうちからやでー」

 かけ声とともに、凛子が僕と理沙のあいだにむりやり入りこんでくる。しかも、なぜかにらまれてしまった。なっ、なんだよとつぜん?

 凛子は理沙にかわってMac──そういえばリサリサちゃんと理沙は呼んでたな──の前にすわると、僕を手招きした。

「ほらほら、丈夫。はよこっちおいで。そんな離れてたら一緒にできへんやろ」

 そう言って自分の右隣の床をポンポンとたたく。僕が呼ばれるままに凛子の隣にすわると、凛子が「なあ、丈夫。ほんで、どうやってやるんや?」とにじり寄ってきた。ちょっ! ち、近いよ!

「ハイ! ふたりとも。わたしが説明するからちゃんと聞いてよ!」

 理沙がとつぜん大きな声をだして、僕の右側にすわった。そして、僕の右手をとって「丈夫くん、わたしが言うとおりにやってね」と言う。ちょっ! そんなに手を握られるとっ! じ、自分でできるからっ!

「  「  「
な  な  ね
あ  っ  え
、  、  、
 え ふ わ
え  た  た
や  り  し
ろ  と  と
た  も  や
け  や  ろ
お  め  う
〜  て  よ
」  」  」

 ふたりとも突然なんなんだ、わけがわからないよ。僕はそっとため息をつく。アプリ開発と女の子はむずかしい……。

つづく。

 

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

参考文献&アプリ

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アプリガール 〜Segue編Part1〜【創作の本棚】


はじめに

『アプリ開発者を志すあなたへ』

アプリガールの世界へようこそ。

アプリガールは、iPhoneやiPadなどのiOSアプリ開発について楽しく学べる物語です(そうなればいいなと思いながら書いています)。

タイトルは、結城浩さん(@hyuki)の『数学ガール』を真似させていただきました。

数学ガールが数学の楽しさを、そして学ぶ楽しさを世に広めたように、アプリガールもアプリ開発の楽しさを、そして学ぶ楽しさを、このお話を読んでくださるあなたに届けることができれば幸いです。

それでは、アプリ開発の世界をお楽しみください。

登場人物紹介

小津 丈夫(おづ たけお)

MacとiPhoneが好きな高校生。幼なじみの理沙に誘われて、しぶしぶながらもアプリ開発をはじめた。ひょんなことからアプリガールの凛子を呼び出してしまった。

理沙(りさ)

丈夫の幼なじみで同じクラスの女の子。開発者である父親の影響で、アプリ開発をはじめた。丈夫と一緒に開発をしたくて、丈夫をアプリ開発の世界へと勧誘した。

丈夫と凛子が仲良くしてるとなぜかイライラしちゃう内気な子。

凛子(りんこ)

髪の色と同じ碧い瞳とツインテールが特徴の自称(?)アプリガール。アプリの世界からやってきて、『こちらの世界』にアプリ開発を広めるのが目的らしい。本人いわくアプリ開発のことならなんでもござれとのこと。ただし、現在は記憶喪失でアプリ開発初心者同然に。

交換留学生の名目で、丈夫の家に生息中。

〜Segue編Part1〜

これまでのあらすじ

しぶしぶながらもアプリ開発をはじめた丈夫だったが、生来の凝り性からかアプリのいろんな機能が気になりはじめたようだ。

ある日、画面が次々と変わるアプリを見て、その仕組みがどうなっているのか考えていた。そして、アプリガールの凛子に質問するのだが……。

本編

「ねえ、この画面から違う画面を表示するにはどうすればいいの?」

 僕はウォズウォズと、じゃなくておずおずと目の前に座る女の子にたずねた。

 彼女は髪の色と同じ碧い瞳をまたたかせて、僕の顔を見つめた。僕は神の宣告を待つ信者のように、ただひたすらに身を固くしている。すると、彼女の瞳がお告げのように輝いた。

「あんな。自分、なんかい言うたら覚えるねん。うちは記憶喪失やってゆうてるやろ」

 ああ、やっぱりダメか。身ぶりにあわせて揺れるツインテールがいまにも襲いかかってきそうで、僕は無意識に身をひいた。

「でも、アプリ開発について考えることが、記憶をとりもどすきっかけになるかもしれない……」

 僕のことばが終わる前に、「ええか、丈夫(たけお)。よう聞け」と彼女の声がかさなる。

「確かにうちはアプリガールの凛子(りんこ)さんや。アプリ開発のことやったら、なんでもござれや。──でもな、丈夫。それは、自分がうちを呼びだすときにヘマせんかったら、の話や」

 彼女──凛子はため息とともにまぶたを閉じた。長いまつげが凛子の顔に影をおとす。そう。僕があのときヘマしたばっかりに彼女は……。

「ねえ、画面遷移ならわたしわかるわよ」

 僕たちのやりとりを静かに聞いていた理沙(りさ)が、そっと口を開いた。

「そうなの!?」「そうなんか!?」

 僕と凛子は同時に理沙につめよる。その勢いに理沙はやや引きながらもうなずいた。

「ええ、ちょうど勉強したところだもの」

「よっしゃあ、ほんならさっそく教えてぇな。今度こそ、うちがホンモノのアプリガールに戻れるかもしれん」

 目を輝かせる凛子に「だといいね」とほほえむと、うつむいて消えるような声で「おおきに」とこたえた。凛子はいつもうるさいくらい元気なのに、たまにこんな風になるんだよな。ヘンなの。

「そろそろはじめていいかしら?」

 理沙がとつぜん大きな声を出す。僕は驚いて「はいっ!」とこたえた。理沙はふだんおとなしいのに、たまにこんな風になるんだよな。ヘンなの。

「画面遷移には大きくわけてふたつやり方があるの。ひとつはストーリーボードで設定する方法。もうひとつは、コードで書く方法」

「そういえば、ストーリーボードに矢印みたいなのがあったけど、もしかしてあれのことかな?」

 僕がXcodeの画面を思い出しながら言うと、凛子が頭を抱えながらブツブツとつぶやく。

「そうです。あの矢印はSegue(セグエ)といいます。Segueというのは『切れ目なくつづく』という意味のイタリア語で、その言葉のとおり画面と画面を切れ目なくつなげるのがSegueの役割なのです」

「凛子、もしかして記憶が戻ったの?」

「えっ?うち、なんか言うてたんか?」

「憶えてないの?いま、セグエは切れ目なくつづくとかなんとか言ってたの……」

「いや、まったく憶えてへん。どないなってんねや?」

 僕と凛子が頭をひねっていると、理沙がもしかしたら、と口を開いた。

「アプリ開発にふれることで、心の奥深いところから記憶が姿を現したんじゃないかしら? このままアプリ開発をつづけていれば、いつか記憶が戻るかもしれないわよ」

「きっとそうや! さすが理沙。おおきにな」

 さっき僕がそうやって言ったときは一蹴したクセに……。そんな僕の気持ちをよそに凛子と理沙は顔を見合わせてほほえんだ。

「そうとわかれば、どんどん進めていきましょう」

 うんうん、仲良きことは美しきかな。ふだんからこんなふうに仲がよかったらいいんだけど、なぜかふいに険悪になったりするんだよね。女の子はフクザツだなあ。

「えっと、画面遷移のひとつめはストーリーボードで設定する方法なの。画面上の部品とSegueを結びつけるのよ」

「画面上の部品?」

 僕が首をひねると、理沙が脇に置いていたポーチからiPhoneを取りだした。理沙の指が画面の上で白魚のように軽やかに跳ねる。僕がその見事な動きに見とれていると、理沙がiPhoneの画面をこちらに向けた。

「そうよ。たとえばお父さんが開発したこのアプリ『ぱぱんだっこ』では、画面下のボタンを押すと……」

 そう言って理沙はパンダがカメラを持ったボタンをターンッとタップした。すると、画面の下からニョキッと新しい画面が現れる。

「ほら、別の画面が表示されたでしょ。つまりアプリの内部では、このパンダのボタンという画面上の部品と次の画面へいくためのSegueが結びついてるのよ」

 理沙の説明を聞いて、凛子はツインテールを揺らしながらウンウンとうなずいた。

「なるほどなるほど。そう言われると、そんな気がしてきたわ。ほな、次はXcodeでそれをどうやってやるか教えてくれへんか?」

 それならちょっと待って、と理沙が立ちあがる。

「わたしのMacを持ってくるから、それまでこれでも読んでて」

 そう言われてわたされた理沙のiPhoneには、『Segueの使いかた』と題されたブログ記事が表示されていた。

 つづく。

 

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

参考文献&アプリ

 

ぱぱんだっこ〜赤ちゃんとのスキンシップを楽しむアプリ。パパと一緒に体重を測って子どもの成長を実感しよう〜
カテゴリ: メディカル, ヘルスケア/フィットネス
価格: ¥200(記事掲載時)

 

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